星のかけら ブログ

岐阜県東濃地方を中心に鳥や虫などを観察しています。私たちのまわりには不思議がいっぱい散らばっています。虫嫌いな人はごめんなさい。たまに可愛い芋虫も出てきます。

進化の不思議を感じる昆虫〜ミカワオサムシ、クロカタビロオサムシ

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 手塚治虫さんのペンネームの元にもなっているオサムシですが、後翅が退化していて、飛べません。飛べないので、川や海で隔離されてしまい、地域によって変異(亜種)が現れる興味深い昆虫です。体の光沢が綺麗なこともさることながら、変異が多いことも多くの人が惹かれる理由かもしれません。東海地方では、アオオサムシがいくつかの亜種に分かれています。そして私の住む岐阜県東濃地方では、上の写真のミカワオサムシが生息しています。長良川と天竜川に挟まれた地域だけに生息する亜種です。長良川を挟んで西、天竜川を挟んで東では、違う亜種のオサムシが現れます。こんな身近な所にも、ダーウィンの進化論を証明できるような事実があると思うと、昆虫観察も楽しくなります。

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 オサムシが全て飛べないと思っていたら、飛ぶことができるオサムシがいました。クロカタビロオサムシです。前翅の付け根が普通のオサムシより角張って見えます。これは後翅が退化していないためです。飛ぶことができるので、木の上にいて、蛾の幼虫などを食べます。飛べないオサムシは、地面にいるミミズなどを食べます。どうして飛べるオサムシと飛べないオサムシがいるのか、ここでも進化の不思議を感じてしまいます。

 

参考:東海の自然史、財団法人東海財団、平成2年

昆虫たちのすごい擬態3〜アオオビハエトリ(本当は昆虫ではないけど)

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厳密には昆虫ではないけど、アオオビハエトリ(クモの仲間)の擬態を紹介します。上の写真は、右側のクモが左側のアリを捕食しているところです。青色に光って見える部分があり、とても綺麗な蜘蛛でした。ところで。クモの脚は8本。でも6本に見えますよね。一番前の脚を上げて、触角のように見せ、アリに擬態しているようです。アリは仲間だと思って近寄っていき、もしくは油断して、結果として捕食されてしまったのです。

アリは小さいけど強い生きものです。だからアリに擬態して、天敵から身を守る昆虫がいます。本物のアリを自分の近くに呼び寄せて身を守る昆虫もいます。ところがアオオビハエトリは、アリに擬態して、アリを捕まえるという強者です。上には上がいるものです。

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水と蛾の不思議な関係〜キオビミズメイガ

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川沿いを散歩していると、綺麗な蛾を見つけました。キオビミズメイガです。キオビは、黄色い帯が翅にあることに由来しています。メイガは蛾の種類の名前で、なんとかノメイガという名前の蛾が沢山います。ただ、稲の害虫という意味もあるそうです。気になるのは、真ん中の「ミズ」です。どうしても「水」を連想します。この蛾と水にどういう関連があるのでしょうか。

調べるとビックリすることが分かりました。幼虫が川の水の中で育ち、苔を食べているそうです。他の蛾や蝶の仲間では見られないエラ(気管鰓)を持っていて、水中で呼吸ができるそうです。不思議です!気になるのは、蛹(繭)も水中にあるそうですが、羽化するときはどうするのでしょう。翅が濡れて、飛び立てないような気がするのですが。

 

参考:高森町のHP

www.town.nagano-takamori.lg.jp

黒と黄の縞模様のトンボ〜サナエトンボの仲間

黒い地に黄色の縞模様をしたトンボというと、誰もがオニヤンマを思い浮かべます。ところが、よく調べると、サナエトンボの仲間に、黒と黄の縞模様をしたトンボが多いことが分かりました。今年見た黒と黄(もしくは緑)の縞模様を持つトンボを紹介します。みんな同じ川で見ました。よく似たものもいて、名前を調べるのは大変でしたが、分かると嬉しいものです。

コオニヤンマ 2021.7.3

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ヤマサナエ 2021.6.6

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タベサナエ 2021.5.8

下のダビドサナエと似ているのですが、腹部先端が白いので、区別ができました。

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ダビドサナエ 2021.5.23

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アオサナエ♂ 2021.7.3

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アオサナエ♀ 2022.6.5

オジロサナエ 2022.6.18

オナガサナエ 2022.6.18

 

 

昆虫たちのすごい擬態2〜シャチホコガ

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今日、極めつけの昆虫の擬態を見つけてしまいました。シャチホコガの幼虫です。いわゆる芋虫なのですが、4本の脚が長く、とても芋虫には見えません。尾の方(左側)は、ベビが舌を出しているように見えます。最初、どっちが前か分かりませんでした。こうなると何に擬態しているのか私にも分かりません。ヘビと馬の合体?怪獣?考えれば考えるほど自然の不思議さを感じます。

見た目だけでは分からない〜ナミテントウ

NHK「チコちゃんに叱られる!」で、「なぜイヌはあんなに種類がいるの?」という疑問が取り上げられました。家畜としてのイヌは、生物分類学的には同じ種類だそうです。でも犬種によって全く見た目が違いますよね。放送では、遺伝子が緩いからと解説されていました。昆虫の世界でも似たようなことがあります。下に写真を並べたナミテントウです。同じ種ですが、星の数、色が様々です。2個、4個、沢山と。星が赤かったり、黒かったりと。見た目では同じ種とは思えません。驚きなのは、全て同じ場所で見たナミテントウです。これも自然の不思議です。

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【2022.5.9追記】

同じ種であれば、繁殖ができるという生物学的な定義がありますが、上の写真は模様が違っても同じ種である証拠になります。

昆虫たちのすごい擬態〜オジロアシナガゾウムシ、ナナフシモドキ、イタドリハムシ、クサカゲロウ

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今日一日の散歩で、何種類もの昆虫の擬態に出会いました。どれもなるほどと思わせる工夫で、色々なものを真似ていました。

トップバッターは上のオジロアシナガゾウムシ。何に擬態してると思いますか?そう、鳥の糞です。本物の鳥の糞だったら鳥も食べようとしないから、それを真似て身を守るために擬態しているのでしょう。これは賢い!

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二番手はナナフシモドキ。明らかに枝に擬態しています。これは、鳥に見つからないように隠れているのでしょう。一度見つけてしまうと、不自然な隠れ方ですが、じっとしていると鳥には見つからないのかもしれません。

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三番手はイタドリハムシ。隠れていないって?逆に目立っています。実はこれはテントウムシに擬態しているのです。下の写真は本物のテントウムシ(ヒメカメノコテントウ)ですが、そっくりですよね。テントウムシは苦くて鳥が食べないそうです。それを真似ることで、鳥から身を守っているのですね。

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最後のこれは、何か分かりますか?ゴミを背負ったクサカゲロウの幼虫です。右に牙のようなものが見えていますが、これが頭。この牙でアブラムシを襲って食べます。背中に背負っているのは、やはり食べかすなどのゴミだそうです。ところで、これは何に擬態しているのかな?よく分かりませんでした。

知らなかった名前のホタル〜クロマドボタル、オバボタル

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ホタルというと、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルしか知りませんでした。ところが、写真の昆虫を見たとき、ホタルに似ているのだけど、胸が赤くないので、不思議になりました。調べるとクロマドボタルというホタルでした。昼に出会ったので光ってはいませんでしたが、夜には光るそうです。もっと調べると、日本には、54種類のホタルがいて、そのほとんどが南西諸島にいて、本州、四国、九州には9種類のホタルが見られるとのこと。クロマドボタルもその中の1種です。また、幼虫期を水中で過ごすのは、ゲンジボタルとヘイケボタルの2種だけで、他の7種は陸地で過ごすので、陸生ボタルと呼ぶそうです。確かにクロマドボタルを見たのも、近くに川がないところです。

どうしてクロマド(黒窓)という名前なのかなと思ったら、胸のところをよく見ると、透明な窓のようなものがあります。何のためのものかは分かりませんでした。まだまだ知らないことが多いです。

同じ時期に別の場所でゲンジボタルも見ましたので、写真をアップします。胸が赤いですよね。

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参考:古河義仁:ホタル学 里山が育むいのち、丸善出版

 

【2021.7.10追記】

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記事に書いた陸生ホタル7種のうち、クロマドボタルに続き、2種目にも出会いました。オバボタルです。ヘイケボタルに似ていますが、触角が大きいのが特徴です。昼間でも元気よく飛び回っていました。