昨年の12月に水辺にいる昆虫として、「メダカハネカクシ」を紹介しました。
先日そのメダカハネカクシの水上での高速走行を撮影できたので紹介します。メダカハネカクシの体長は5mmくらい。後翅は綺麗に折りたたまれて、胸の下の短い前翅に隠れています。だから「ハネカクシ」と言います。飛べるはずですが、飛んだところは見たことがありません。いつも水辺をちょこちょこ歩き回っています。

このメダカハネカクシのすごいところは、突いたりして脅かすと(おそらく天敵に襲われたりしたときも)、水面を高速で一直線に走行することです。これまで動画撮影を試みたのですが、一瞬で50センチくらい移動するので、カメラでは追えませんでした。そこで、枯れ草に無理矢理乗せて、水の上に落としてみました。その時の動画を載せます。手に持った草の先から黒い小さなメダカハネカクシが、水面に落ちます。そして一瞬間を置いて、手の方(岸の方)に高速で走行します。リアルタイムだと速すぎて肉眼で見えないので、0.25倍速のスローモーションにしました
【2026.3.8追記】こちらは後日撮影したリアルタイムの動画です。指先のメダカハネカクシが突然左上に走り出します。
メダカハネカクシ(Stenus)の水上走行は仕組みは不思議で、有名な科学誌(Nature)にも、メダカハネカクシを模倣したロボットが発表されていました。その仕組みとは、尾の先から水を吸い付ける化学物質(洗剤のような界面活性剤)を出し、水面を高くします。そうすると自然に頭の方向に推進力が生まれるのです。同じ水上を走るアメンボや蜘蛛のように手足は使っていません。これを専門用語で「マランゴニ効果」とか「マランゴニ推進」と呼ぶそうです。何じゃそれ?と思いますが、エネルギーを使わない推進力として注目されています。
論文によると、メダカハネカクシの水上走行速度は毎秒70cm(時速約2.5km)に達します。体長はわずか約5mmなので、自分の体長の約140倍の距離を1秒で移動している計算になります。もし体長5mの自動車が同じ体長比で走るとすると、秒速約700m(時速約2,500km)にもなります。これはなんとマッハ2に近い速度です。
普段あまり気に留めない小さな昆虫ですが、身近にこんな昆虫がいたなんてビックリです。
一応、メダカハネカクシを模倣したロボット研究の論文リンクを👇絵を見るだけでも楽しいですよ。
【流体吸収駆動マイクロ流体ポンプを用いた、マランゴニ効果に基づく水面ロボットの自己推進】
【メダカハネカクシに着想を得た、高速かつ高機動な無線型昆虫スケールのソフト推進ロボット】