手塚治虫さんのペンネームの元にもなっているオサムシですが、後翅が退化していて、飛べません。飛べないので、川や海で隔離されてしまい、地域によって変異(亜種)が現れる興味深い昆虫です。体の光沢が綺麗なこともさることながら、変異が多いことも多くの人が惹かれる理由かもしれません。東海地方では、アオオサムシがいくつかの亜種に分かれています。そして私の住む岐阜県東濃地方では、上の写真のミカワオサムシが生息しています。長良川と天竜川に挟まれた地域だけに生息する亜種です。長良川を挟んで西、天竜川を挟んで東では、違う亜種のオサムシが現れます。こんな身近な所にも、ダーウィンの進化論を証明できるような事実があると思うと、昆虫観察も楽しくなります。
オサムシが全て飛べないと思っていたら、飛ぶことができるオサムシがいました。クロカタビロオサムシです。前翅の付け根が普通のオサムシより角張って見えます。これは後翅が退化していないためです。飛ぶことができるので、木の上にいて、蛾の幼虫などを食べます。飛べないオサムシは、地面にいるミミズなどを食べます。どうして飛べるオサムシと飛べないオサムシがいるのか、ここでも進化の不思議を感じてしまいます。
参考:東海の自然史、財団法人東海財団、平成2年