星のかけら ブログ

岐阜県東濃地方を中心に鳥や虫などを観察しています。私たちのまわりには不思議がいっぱい散らばっています。虫嫌いな人はごめんなさい。たまに可愛い芋虫も出てきます。

どうみても蝶でしょう!?〜イカリモンガ

シダに止まっている蝶を見つけ、そっと近づいて写真を撮りました。その時は、顔の先が尖っているし、テングチョウだと思っていました。帰ってから図鑑で確認すると、テングチョウとは少し前翅の形が違います。図鑑をペラペラとめくって探してみたのですがいません。新種???図鑑に載っていないとお手上げです。

こうなったら、グーグルレンズの力を借りるしかありません。出てきました!イカリモンガ、って蛾???昼間に飛ぶ蛾がいることは知っていましたが、翅をきれいに閉じて止まっているし、触角には毛が生えていないし、どう見ても蝶の特徴を備えています。

蝶と蛾の区別は曖昧というのは聞いたことがありますが、これはその最たるものですね。

【イカリモンガ】

【テングチョウ】

イカリモンガの名前は、前翅のオレンジ色の紋が船の錨の形に似ているところから来ています。なるほど。

他にも色々調べてみると、イカリモンガの幼虫は、毛虫ではなくて芋虫でした。また花で吸蜜もするそうです。どうして蝶に入れてもらえなかったのでしょうね。

早春だけに見られる蝶〜ギフチョウ、ミヤマセセリ、コツバメ

これまで春一番に見られる蝶としてキタテハやキタキチョウを紹介しましたが、これらは成虫で越冬しているので、秋にも見られます。ところが、早春に羽化して、すぐに産卵していなくなる蝶がいます。それがギフチョウ、ミヤマセセリ、コツバメの3種です。どれも岐阜県ではあまり珍しくないのですが、見られる時期が短いので、時期を決めて会いに行かないと見られません。昨日の散歩ではその内の2種、ギフチョウとミヤマセセリに会いました。

【ギフチョウ】

暖かい昼間は縄張り(山道の10メートルくらいの距離)を往復して、なかなか止まってはくれません。しばらく待って、たまたま止まった時に写真を撮りました。黄色だけでなく、赤や青や橙が混ざって、とても綺麗な蝶です。

【ミヤマセセリ】

飛んでいるときは黒く見えるので目立たないのですが、止まると前翅の銀色の模様がとても綺麗です。

【コツバメ】

一昨年の4/8に同じ場所で撮った写真です。表はブルーなのですが、止まるとこんな感じで全く目立たなくなります。昨日もいたかも知れませんが、見つけることができませんでした。

 

春です!昆虫が動き始めました〜イタドリハムシ、ミツバチ、テングチョウ、キタテハ

昨日の最高気温は22℃まで上がり、散歩をしていても汗ばむぐらいの陽気でした。そして先週の週末散歩では見られなかった昆虫が姿を現しました。今年の啓蟄(けいちつ、冬ごもりの虫が這い出る)は3月5日だったので、ほぼ暦通りですね。

テントウムシがいると思って近付いてみたら、イタドリハムシでした。名前の通り、イタドリの仲間のスイバの葉に止まっていました。成虫越冬なので、落ち葉の下とかでじっと春を待っていたのでしょう。

オオイヌノフグリが一斉に咲き始めたので、蜜を求めてミツバチが集まっていました。花の小さなオオイヌノフグリが蜜源になるなんて知りませんでした。脚に花粉も付けているので、花粉源にもなっていますね。

成虫越冬の蝶も飛び始めました。下の写真は、テングチョウ(上)とキタテハ(下)です。その他にもキタキチョウ、ウラギンシジミ、ルリタテハも見かけましたが、止まってくれなかったので、写真は撮れませんでした。蝶の成虫越冬が不思議で、冬の間、どこにいるのでしょう?翅があるので落ち葉の下には潜り込めないはずです。笹や木の葉の裏とかを注意して見ているのですが、一度も越冬している蝶に会ったことがありません。不思議です。

 

 

鳥ではありません〜コミミズク

先週は散歩道であまり鳥に会えなかったのですが、今週はかなり戻って来てくれました。シジュウカラ、ヤマガラ、コガラ、メジロ、ジョウビタキ、アオジ、ベニマシコ、モズに会いました。そして虫がめっきりいなくなりました。季節の変わり目ですね。

 

虫が全くいなかったかというと、そうではありません。橋の欄干にこんなものがいました。動かないので、虫の蛹か抜け殻かなと思っていましたが・・・

突然動き始めました。海老???と思ったのですがここは陸上だし、よく見ると足が6本なので、虫です。こんな虫は見たことがないので、なんの仲間かも分かりません。

帰ってGoolgeレンズの力を借りることにしました。すると一発で出てきました。「コミミズク」の幼虫でした。またまた驚きです。鳥と名前が一緒です。ミミズクという似た虫もいるそうです。紛らわしいですね。

 

コミミズクはこの幼虫の状態で越冬するそうです。どうして欄干にいたのか分かりませんが、木の幹にいると何か分からないので、天敵にも見つからないでしょうね。海老のような頭は、虫に見えないようにしているのかな。

 

初冬の昆虫たち〜ベニシジミ、キタキチョウ、マユタテアカネ、オオアオイトトンボ、ヨモギハムシ、ニトベミノガ、コカマキリ

11月23日、25日と続けていつもの場所に観察散歩に出かけました。たくさんの鳥に会えるかなと思って出かけたのですが、ちょっと期待外れでした。オオタカが出ているのか、他の場所に食べものがあるのか、何か理由があるのでしょう。

その代わり、こんな季節なのに、たくさんの昆虫に会うことができました。さすがに寒いので活動的ではないのですが、よく探すと結構いました。

 

まずは蝶から。最初はベニシジミ。春から夏の蝶だと思っていましたが、こんな時期にもいるのですね。ベニシジミには春型と夏型があって、夏型は前翅が全体的に黒っぽくなります(オレンジ色が目立たなくなる)。そして、このベニシジミは、なんと春型でした(いや秋型というのでしょうか)。オレンジ色がはっきりしています。図鑑にも「晩秋に羽化するものは春型と等しい」と書いてありました。羽化する時期によって翅の色が変わるなんてちょっと不思議です。

蝶は幼虫や蛹で越冬するものが多いのですが、キタキチョウは成虫で越冬します。ですが、これまで真冬にキタキチョウを見たことはありません。どこか見つからないところで、ひっそりと春を待っているのでしょう。

11月だというのにトンボもいました。でもあまり活動的ではありません。日当たりの良いところでじっとしています。こちらはマユタテアカネ。

こちらはオオアオイトトンボです。どちらも成虫越冬ではないので、子孫を残して命を全うするのでしょう。

次は甲虫です。この時期甲虫はほとんど見かけませんが、ヨモギハムシが道路を歩いていました。とても綺麗な青い光沢があって、見とれてしまいます。こちらは成虫と卵で越冬するそうです。お腹が膨らんだメスも見ました。

橋の欄干に、5ミリくらいの円錐状のものが、いくつか付いていました。最初はなにか分からず、抜け殻とか糞の類いかと思っていたのですが、なんと動き出したのです。これにはビックリ!アップで見てみると、中に芋虫がいました(写真には豆粒のような頭が写っています)。色々調べると、ニトベミノガの幼虫、つまりミノムシの仲間と分かりました。ミノムシというと、木にぶら下がっているイメージがありますが、こんな形態のもいるのですね。

11月23日には、カマキリも見ました。コマカキリ(写真)とムネアカハラビロカマキリでしたが、もう元気がなさそうでした。カマキリは卵で越冬しますが、親は産卵後もしばらく余生を送るそうです。

これで昆虫も見納めかな。今年も色々な発見がありました。楽しませてくれた虫さんたちに感謝!

ラッキーカラー〜緑色のコカマキリ

昨日の散歩で珍しいものを見つけました。下のカマキリです。写真では分かりにくいかもしれませんが、最初見たとき、すごく違和感がありました。緑色のカマキリというと、この辺ではオオカマキリとハラビロカマキリしかいないのですが、明らかに小さかったのです。小さいというと、コカマキリが思い当たるのですが、実はコカマキリは茶色なのです。

こちらがいつも見ている茶色のコカマキリです。でも、上の緑色のカマキリと大きさも形も一緒です(アスファルトの石の粒と比べると大きさが分かります)。

もしかして突然変異のコカマキリではないかと、前脚(鎌)の内側を確認。あった!コカマキリの特徴である白(黄色く見える)と黒の紋が。やっぱり緑色のコカマキリがいたのです。

ネットで調べると、分かりやすい解説がありました。

cocreco.kodansha.co.jp

「コカマキリの場合、基本は全て茶色なのに、他のカマキリが持つ「体を緑色にする遺伝子」が残っていて、それが稀に現れることがあるのかもしれません。」ということで、やっぱり数は少ないけど緑色のコマカキリがいることが分かりました。

会えてラッキー!!!

この擬態はすごい(2)〜クロコノマチョウ、サトクダマキモドキ、コカマキリ

 昨日の観察散歩でも、これは紹介せねばと思う擬態する昆虫をいくつか見つけました。前回は、身体の形を他のものに似せている典型的な擬態でしたが、今回は、保護色を使って景色にとけ込んでしまうような隠れる系の擬態です。

まず下の写真ですが、蝶が写っているのが分かりますか。2頭いますよ。言われないと分かりませんよね。クロコノマチョウの雌雄です。茶色いのが雌で、黒っぽいのがオスです。落ち葉の中にとけ込んでしまっています。

次はサトクダマキモドキ。こちらも最初全く気が付きませんでした。翅が、止まっている植物の葉とそっくりだったのです。これもきっと擬態していると思います。

最後は、コカマキリ。カマキリだから隠れなくてもよいと思うのですが、コカマキリだけは、見つけるとすごい勢いで逃げます。他のカマキリに捕食されているのを見たことがあるので、結構弱い立場なのだと思います。芝生に入り込むと小枝そっくりです。

弱い立場の生き物は、隠れることで捕食から逃れています。そうなると、必然的に住んでいるところの何かに似てくるのでしょうね。

この擬態はすごい〜カトウツケオグモ、セスジスカシバ、ホソヘリカメムシ

もうそろそろ昆虫のシーズンも終わりですね。これからは、葉っぱが落ちて、鳥見のシーズンがやって来ます。

さて、これまでも何度か昆虫(クモを含む)の擬態を紹介してきましたが、今シーズンも、すごい擬態を見つけました。それらをまとめて紹介しようと思います。

まずは、カトウツケオグモです。何に擬態しているかというと鳥の糞です。この場所には沢山のエゴノキが生えていて、ヤマガラが集まってきます。そして、ヤマガラが大好物のエゴノキの実を食べて、そこで糞をします。カトウツケオグモは、その糞に擬態しているのです。白い糸を周りに装飾して、より糞に見えるようにする懲りようです。

カトウツケオグモのいた場所の上部には、ヤマガラが集まります。

どうして糞に擬態しているかというと、鳥の糞には、セセリチョウが集まってくるからです。セセリチョウは糞から、繁殖に必要な栄養素を摂取します。

カトウツケオグモは、そのセセリチョウを捕まえようと待ち構えているのだと思います。まだ捕食の瞬間を見ていないので分かりませんが、糞と間違えて近寄ってきた蝶を、長い足で捕まえてしまうのでしょう。こわっ!

続いての擬態さんは、セスジスカシバです。一見、これは何だっ?て思いますよね。触角を見たら分かりますが、これは蛾です。でも、一般的な蛾には見えません。ハチのように見えます。そうです。これはスズメバチに擬態した蛾なのです。怖いスズメバチに擬態して、鳥などの天敵から身を守っているのでしょう。

遠目に見ると、鳥にはスズメバチと区別が付かないのでしょう。飛び方もハチのようでした。

最後は、ホソヘリカメムシです。下の写真に2匹の昆虫が写っていますが、左側は、ホソヘリカメムシの成虫です。では、右側は?アリじゃないの?そう思ったとしたら、擬態成功です。実は、ホソヘリカメムシの幼虫なのです。

別の幼虫を拡大して見ると、やはりアリにそっくりです。ギ酸を出すアリに擬態して天敵から身を守っているのでしょう。実に巧妙です。

昆虫(+クモ)の擬態がすごいと思うのは、自分以外の鳥、昆虫の生態までも知っているかのように、他のものを真似ることです。最初のカトウツケオグモにしても、その場所にヤマガラが集まり、そこにセセリチョウが集まることを知らないと、鳥の糞に擬態しても意味がないわけですから。