星のかけら ブログ

岐阜県東濃地方を中心に鳥や虫などを観察しています。私たちのまわりには不思議がいっぱい散らばっています。虫嫌いな人はごめんなさい。たまに可愛い芋虫も出てきます。

この擬態はすごい〜カトウツケオグモ、セスジスカシバ、ホソヘリカメムシ

もうそろそろ昆虫のシーズンも終わりですね。これからは、葉っぱが落ちて、鳥見のシーズンがやって来ます。

さて、これまでも何度か昆虫(クモを含む)の擬態を紹介してきましたが、今シーズンも、すごい擬態を見つけました。それらをまとめて紹介しようと思います。

まずは、カトウツケオグモです。何に擬態しているかというと鳥の糞です。この場所には沢山のエゴノキが生えていて、ヤマガラが集まってきます。そして、ヤマガラが大好物のエゴノキの実を食べて、そこで糞をします。カトウツケオグモは、その糞に擬態しているのです。白い糸を周りに装飾して、より糞に見えるようにする懲りようです。

カトウツケオグモのいた場所の上部には、ヤマガラが集まります。

どうして糞に擬態しているかというと、鳥の糞には、セセリチョウが集まってくるからです。セセリチョウは糞から、繁殖に必要な栄養素を摂取します。

カトウツケオグモは、そのセセリチョウを捕まえようと待ち構えているのだと思います。まだ捕食の瞬間を見ていないので分かりませんが、糞と間違えて近寄ってきた蝶を、長い足で捕まえてしまうのでしょう。こわっ!

続いての擬態さんは、セスジスカシバです。一見、これは何だっ?て思いますよね。触角を見たら分かりますが、これは蛾です。でも、一般的な蛾には見えません。ハチのように見えます。そうです。これはスズメバチに擬態した蛾なのです。怖いスズメバチに擬態して、鳥などの天敵から身を守っているのでしょう。

遠目に見ると、鳥にはスズメバチと区別が付かないのでしょう。飛び方もハチのようでした。

最後は、ホソヘリカメムシです。下の写真に2匹の昆虫が写っていますが、左側は、ホソヘリカメムシの成虫です。では、右側は?アリじゃないの?そう思ったとしたら、擬態成功です。実は、ホソヘリカメムシの幼虫なのです。

別の幼虫を拡大して見ると、やはりアリにそっくりです。ギ酸を出すアリに擬態して天敵から身を守っているのでしょう。実に巧妙です。

昆虫(+クモ)の擬態がすごいと思うのは、自分以外の鳥、昆虫の生態までも知っているかのように、他のものを真似ることです。最初のカトウツケオグモにしても、その場所にヤマガラが集まり、そこにセセリチョウが集まることを知らないと、鳥の糞に擬態しても意味がないわけですから。