星のかけら ブログ

岐阜県東濃地方を中心に鳥や虫などを観察しています。私たちのまわりには不思議がいっぱい散らばっています。虫嫌いな人はごめんなさい。たまに可愛い芋虫も出てきます。

美しい蛾〜キスジホソマダラ

美しい昆虫は色々いますが、今回出会ったこの昆虫は、本当に端正な美しさを持っています。キスジホソマダラというマダラガの仲間です。体全体(触角も脚も)がメタリックブルーで、黒い翅に黄色い紋があります。美しいというと蝶ばかり思い浮かびますが、美しい蛾もいるものだなとつくづく思いました。

 

生き延びるためについた模様〜クロコノマチョウとジャノメチョウの仲間

いつもの観察場所を歩いていると、ちょっと薄暗い林で、じっとしているジャノメチョウの仲間をよく見かけます。全体的に地味な色をしているのですが、蛇の目模様(眼状紋)があるので、逆に目を引いてしまいます。この蛇の目模様ですが、天敵の鳥などを驚かせるために付いていると思っていたのですが、どうも違うようです。

昨日出会った、クロコノマチョウの写真を最初に載せましたが、なんと小さな蛇の目模様が翅の縁にあったのです。クロコノマチョウがジャノメチョウの仲間とは知りませんでした。ですが、こんな小さな蛇の目では天敵は驚かないでしょう。これは違う目的があると思いました。

調べて見ると、わざと蛇の目を目立たせて、狙われても致命傷にならない翅の縁を最初に攻撃させる作戦のようです(参考サイトを最後にリンクしました)。鳥やカマキリが体にある本当の目と間違うのでしょう。面白い進化のしかたですね。

 

クロコノマチョウ

 

そこで、これまで見たジャノメチョウの仲間の写真を集めていました。やはり、体から遠い翅の縁に蛇の目は集まっています。そこを狙われても致命傷にはならないからでしょう。実際、ヒカゲチョウの写真をみると、蛇の目のある後翅が傷んでいるように見えます。

 

コジャノメ

ヒメウラナミジャノメ

サトキマダラヒカゲ

ヒカゲチョウ

クロヒカゲ

spap.jst.go.jp

スクープ!カマキリがセミを襲う!

今日も自然観察散歩に行ってきました。暑かったです。

でもすごいものを見ました。ハラビロカマキリ(実はムネアカハラビロカマキリ)の幼虫が、アブラゼミを襲ったのです。セミは、逃げようとして翅をばたつかせますが、カマキリは、飛べないようにしようと前翅の付け根に噛みついています。

 

 

 

 

 

 

 

ところが、この狩りは失敗!パワーに勝るセミに逃げられてしまいました。翅を狙った作戦は良かったと思うのですが。 このカマキリは、また挑戦するのかな。

 

抜け殻もいろいろ〜ヒグラシ、ニイニイゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシ、ミンミンゼミ

7月になると、いつもの観察スポットでもセミが鳴き始めました。また道端のササの葉には抜け殻が付いていました。抜け殻もよく見ると、大きさや外見でセミの種類が分かることに気付きました。

まず、ヒグラシです。小さめの抜け殻で、外見はツクツクボウシに似ているそうですが、7月の中旬はまだツクツクボウシが鳴いていなかったので、ヒグラシだと思います。触角の節の長さでもヒグラシとツクツクボウシは区別できるそうです。

次は、ニイニイゼミです。初めて見たのですが、全面に泥が付いています。見た目で他のセミと間違いようがありませんね。どうして泥まみれなのか分からないのですが、ニイニイゼミの幼虫は柔らかい土を好むと書いてありました。

7月の下旬に入って、アブラゼミも鳴き始めました。これで三種類の抜け殻が揃ったので、大きさを比べて見ました。左からアブラゼミ、ヒグラシ、ニイニイゼミです。アブラゼミが少し大きくて、ヒグラシとニイニイゼミは同じぐらいです。

 

【2023.8.26追記】

8月21日、ついにツクツクボウシの抜け殻を見つけました。

ヒグラシの抜け殻と大きさが似ているので、見分けるのが難しいです。でも並べてみると、よく分かります。ヒグラシ(左)は肩が盛り上がっていますが、ツクツクボウシ(右)はスッとして平らです。

上から見ると、ヒグラシ(左)はツルツルしていますが、ツクツクボウシ(右)はザラザラしています。だから、日が当たっていると、ツクツクボウシは白っぽく見えます。

 

【2023.8.27追加】

8/26、今度はミンミンゼミの抜け殻を見つけました。ミンミンゼミとアブラゼミの抜け殻はほとんど同じ大きさです。見分けるには、触角の根元から3番目の節の長さを見るそうです。短ければミンミンゼミ、長ければアブラゼミと分かります。下の写真では、左側がミンミンゼミ、右側がアブラゼミだと思います。

 

キリギリスと間違えた!〜コロギス

今日出会ったバッタの仲間、立派な産卵管を持ち、透き通るよな緑色をしていました。どう見てもキリギリスの仲間と思い、帰ってから「キリギリス 種類」で検索してみました。ですが、なかなか一致する写真が見つかりません。そもそも産卵管が上に反り返っているのがおかしい。珍しいキリギリスを見つけたのかとワクワクしました。

試しに、図鑑(学研の図鑑 昆虫)を開いてみると、あれ?キリギリスの二つ下に掲載されていました。名前は「コロギス」。ネットに頼ったのが、失敗でした。再び、ネットでコロギスを調べると、コオロギとキリギリスの中間的な仲間で、コロギス科の昆虫でした。名前のコロギスも、ギキリを縮めて、付けたんでしょうね。

このコロギス、不思議な生態を持っているそうです。まず、鳴かない!その代わりに脚を打ち鳴ら(タップ)して、メスにアピールするそうです。そして、夜行性で、自分で糸を出して葉を丸め、それを巣にして、昼間は隠れているそうです(芋虫やクモがするように)。だから昼間に出会うことは滅多にないそうです。今日はどうして出てきたのでしょうか。

 

 

幼虫さん達大集合

ある場所で、虫の観察を始めてから3年目の夏を迎えました。少しずつ名前を覚え、小さな虫にも気付くようになってきました。名前を調べるときに難しいのが、幼虫です。図鑑には主に成虫の写真が載っていて、幼虫はなかなか見つかりません。ネットで調べても、その幼虫にたどり着けないことがしばしばあります。

今回は、3年間の写真を整理して、名前の分かった幼虫の写真を、成虫と併せて投稿します(上側が幼虫、下側が成虫)。

昆虫には、蛹になる完全変態するものと、蛹にならない不完全変態するものがあるのは、皆さんご存じの通りです。完全変態すると、幼虫と成虫でがらりと見た目が変わります。目でいうと、チョウ、ハチ、ハエ、甲虫です。不完全変態する昆虫には、バッタやカマキリのように、見た目があまり変わらず、幼虫には翅がないだけというものと、カメムシ(セミ)やトンボのように、見た目ががらりと変わるものがいます。

 

それでは、まず不完全変態する昆虫で、見た目があまり変わらない、カマキリとバッタから。形は変わりませんが、色が違うものもいます。

オオカマキリ

幼虫のときから、立派なカマキリの形をしています。カメラを向けたら、威嚇なのか飛び移ってきました。

 

ササキリ

長い触覚や体の形は一緒ですが、色が全然違いますね。

 

アシグロツユムシ

こちらも形は変わりませんが、幼虫の色がとても綺麗です。

 

続いてセミを含むカメムシ目の幼虫たちです。幼虫に翅がないのもありますが、見た目が成虫と結構違います。

 

アカマキバサシガメ

これはなかなか名前が分かりませんでした。芋虫の体液を細長い口で吸っていたので、サシガメの仲間だとは思いましたが、成虫と全く色が違うのです。ネットの画像を探し回り、やっと見つけました。前脚がカマキリのような形をしているところが同じでした。

 

アオバハゴロモ

ロウ物質を体にまとう幼虫がたくさんいることに気づきました。成虫は蛾のようにも見えますが、カメムシの仲間です。顔はよく見るとセミに近いかな。幼虫は、自分で白いロウ物質を出して、体全体を綿毛のように見せています。写真では足が見えますが、引っ込めて茎にへばりついていると、虫には見えません。食べられないように擬態しているのでしょうね。

脱皮した直後でしょう。脱皮殻が上にあります。

 

ベッコウハゴロモ

こちらは、お尻からロウ物質を出して、立ててます。これは擬態なのか、威嚇なのか、ちょっとわかりません。成虫はまるで蛾のような形をしていますが、れっきとしたカメムシ目です。同じ不完全変態でも、カマキリやバッタと違って、幼虫と成虫が全く違う形をしています。

 

キボシマルウンカ

カメムシ目がまだまだ続きます。まず成虫を見てください。テントウムシそっくりです。だから甲虫目ではと迷うところですが、これもカメムシなのです。多分、美味しくないテントウムシに擬態しているのだと思います。幼虫には、足に団扇が付いていて、不思議な形をしています。この幼虫の名前を探すのには、結構苦労しました。

 

さて、ここから完全変態する幼虫たちに移ります。

 

カメノコテントウ

テントウムシは甲虫目ですから、完全変態する昆虫です。幼虫は細長くて、結構グロテスクですが、成虫になると丸くなって可愛くなります。テントウムシなら好きという人でも、この幼虫を見ると引くでしょうね。カメノコテントウの幼虫は食欲旺盛で、クルミハムシの幼虫や蛹をむしゃむしゃ食べまくります。その様子はまるで怪獣映画のようです。

 

イチモンジカメノコハムシ

甲虫のなかでも一番の変わり者と思っているのが、このイチモンジカメノコハムシです。まず、成虫の体全体が、透明プラスチックのお椀で覆われたような姿をしています。前翅が透明なのはまだ分かりますが、胸から頭にかけても透明の板が覆い被さっているのです。どうしてこんな形になったのでしょう。計り知れません。

そして、幼虫がまた変です。上に乗っている黒いものは、自分の脱皮殻です。捨てずに尾に付けて、傘のように自分を覆っているのです。自分自身も周りに棘状の突起を持っています。イチモンジカメノコハムシを見る度に、どういう進化をすればこうなるのか、不思議でなりません。

 

クルミマルハバチ

今度はハチ目ハバチ亜目のクルミマルハバチです。名前の通り、幼虫がクルミの葉を食べます。こちらもロウ物質を体にまといます。それもたくさん。ハバチの幼虫は、チョウ目の幼虫にそっくりの芋虫ですが、腹脚(前方の3対の本当の脚以外の後方の脚)が5対以上と多い(チョウ・ガは4対以下)のが特徴です。写真のクルミマルハバチの場合、腹脚は7対ありますね。頭に黒い小さい目が付いているので、とても可愛く見えます。

 

真打ちはチョウ目のガの幼虫、いわゆる芋虫さんです。とびっきりレアなシャチホコガ科の幼虫を紹介します。で、成虫なんですが、探しているのですが、まだ出会えていません。

ムラサキシャチホコ

オニグルミの葉が少し痛んで茶色くなっている状態に擬態しています。成虫も枯れた葉に擬態しているのですが、ぜひ会ってみたいです。

シャチホコガ

これが芋虫?と思うぐらい、足が長いです。またシャチホコの名前のとおり、お尻を反り返らせています。まるで別の昆虫(かエイリアン)に化けているように見えます。アリなのかな。

 



ハチのゆりかご〜ハキリバチ、トックリバチ

葉っぱがかじられていると、近くに芋虫などの昆虫がいないか探す習慣ができてしまいました。丸くかじられた葉を見つけ、観察していると、、、

なんとハチが飛んできて、葉を切り始めました。数秒で丸くかじり、それをどこかに運んで行きます。そして、しばらくしたら、また戻って来て、葉を切っていきます。外国のどこかにハキリアリがいるのは聞いたことがありますが、、、

youtu.be

 

今度は、ハチの行き先を追っかけてみました。そうしたら、2メートルくらい離れた地面の穴に入っていきました。葉を切っては、この穴に運び込んでいます。もしかして、葉は食料で、穴の中に貯めているんだろうか。ハチがそんなことするかな?

youtu.be

 

帰って調べると、このハチは、ハキリバチの仲間で、子供を育てるための巣を作っていることが分かりました。切った葉は、壁となる巣材になるそうです。それも精巧に出来た筒状の。そこに幼虫のエサとなる花粉を詰めて、卵を産むそうです。へ〜こんなハチがいるんだ!

nekosen.cocolog-nifty.com

 

もう一つ見つけたハチの巣がこちら。トックリバチの仲間の巣です。陶芸としてみると、もう芸術の域です。蓋がしっかりと閉まっているので、すでに中にはエサの芋虫が詰まっていて、卵が産み付けられているはずです。

 

ハチの種数は、甲虫、チョウ・ガに続いて、3番目に多いそうです。まだ名前が付いていない未知の種を含めると、種数は30万を超え、1位、2位を争うことになるそうです。私たちは、ミツバチやスズメバチぐらいしか名前を知りませんが、調べれば調べるほど奥が深い昆虫かもしれません。

 

【2023.8.5追記】

ハキリアリが切り取ったと思われる葉を他にも見つけました。綺麗に丸くかじられています。

 

だるまさんが転んだ〜カマキリの幼虫とハナアブ

ハラビロカマキリの幼虫を見つけたら、近くの葉の先にアブが止まりました。その距離、15センチ。アブはじっと止まったままで、カマキリの存在には気付いていないようです。どうなるかと見ていたら、カマキリがゆっくりとアブに向かって移動を始めました。それもすご〜〜〜くゆっくりと。

3分後

8分後

18分後

29分後

ここで一旦、ズームアップ写真を挟みます。狙われているのはハナアブの仲間ですね。カマキリの顔は、真っ直ぐにハナアブのほうを向いています。でも、上手く隠れているのか、ハナアブのほうは逃げません。

38分後

その直後、あっ!ハナアブが飛んでしまいました。カマキリさん、残念!!

こんなことで、カマキリの幼虫は、ちゃんとエサが取れているのか、とても心配になりました。頑張って大きくなってください。