星のかけら ブログ

岐阜県東濃地方を中心に鳥や虫などを観察しています。私たちのまわりには不思議がいっぱい散らばっています。虫嫌いな人はごめんなさい。たまに可愛い芋虫も出てきます。

晩夏に現れる南方系の昆虫〜ウラナミシジミ、ウスバキトンボ

ここ岐阜県で、この時期にだけ見られる昆虫がいます。それは、毎年南からやって来るのですが、寒さで越冬できない昆虫たちです。どうしてそんな無謀なことをするのかは分かりませんが、将来地球が温暖化することを見越して、生息域を増やすためかもしれません。

最初はウラナミシジミです。今年は8月26日に初めて見ました。大型のシジミチョウで、飛翔力も強いそうです。温暖な地域(千葉県南端部、伊豆半島南部、紀伊半島南部、四国・九州の温暖地およびそれ以南)で越冬し、春になったら世代を繰り返しながら北へ移動します。そして、南に戻ることなくそこで一生を終えるのです。おそらく岐阜県より北へも飛んでいっていると思います。翅の模様が明るくて、なんとなく南方系な感じがします。

次はウスバキトンボです。こちらは8月21日から集団で飛び始めました。このトンボが越冬できるのは、八重山諸島より南の東南アジアや中国大陸です。こちらも世代を繰り返して北上します。海も渡るそうです。そして全国に飛来しますが、こちらも寒さに弱く、やはり越冬できずに死に絶えてしまうのです。

ウスバキトンボは普段、上の写真のように集団で上空を飛んでいて、ほとんど着地することはありません(夜はどこかで休憩していると思うのですが)。たまたま着地してくれたウスバキトンボが下の写真です。金色に近い黄色をしています。飛んでいても色をよく見れば、赤とんぼと間違うことはありません。

どうして大変な労力を使って毎年北上を繰り返さないといけないのか不思議に思いますが、昆虫たちにとってはきっと合理的な理由があるのでしょう。4億年も生き抜いてきたのですから。

 

参考:白水隆;日本産蝶類標準図鑑(学研)、尾園暁他;日本のトンボ(文一総合出版)